既存事業の延長ではない、0→1の新規事業。
まだ顧客も市場も明確ではなく、社内に前例もない領域に挑むとき、議論は往々にして「アイデアの確実性」に向かいます。
しかし、実際に現場で止まっているのは、アイデアそのものではなく、“判断の構造”です。
未来の顧客創造を目指すテーマは、不確実性が前提です。
市場規模の根拠も曖昧で、従来のKPIも当てはまらない。
にもかかわらず、組織は既存事業と同じ物差しで評価しようとします。
短期収益性、既存チャネルとの整合、ブランド毀損リスク。
どれも重要ですが、0→1段階で同じ基準を適用すれば、挑戦はほぼ確実に止まります。
本質的な問いは、「このアイデアは確実か」ではなく、「どの不確実性を、どの順番で潰すのか」です。
技術が成立するのか。顧客は本当に困っているのか。社会的要請は強まるのか。
判断とは、正解を見つけることではなく、リスクの種類を分解し、次に検証すべき論点を決める行為です。
未来型の新規事業では、意思決定の基準そのものを設計する必要があります。
既存事業と同じROIではなく、学習速度や仮説の質を評価する枠組みが求められます。
ここが曖昧なままでは、どれほど革新的な着想も「まだ早い」「リスクが高い」という言葉で棚上げされます。
0→1で止まる理由は、勇気の不足ではありません。判断の仕方が設計されていないことです。
私は、アイデアを磨く以上に、その判断軸を構造化する伴走も重視しています。
未来の顧客は、発想からではなく、覚悟ある判断から生まれると考えているからです。



